分離発注は合理的な

建築の注文方法


建築主、つまりレストランの社長が、専門業者に工事を直に発注することになりました。設計者のマネジメントによる「分離発注方式」です。とても合理的な方法で、上手く噛み合ったら、最小の投資で最大の効果が期待できます。

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作曲家自ら指揮棒を振って演奏会

建築用語を少し説明します。「工務店」とは建築や土木に関する仕事をする会社のことで、ここでは建築の「元請会社」の一つです。元請会社とは、建築主と工事請負契約を交わして仕事をする会社で、ゼネコンやハウスメーカーも元請会社になります。元請会社は、工事に必要な多くの「下請会社」を集めて建築工事を行います。

建築工事の「下請会社」とは、元請会社の要請に応じて基礎工事、屋根工事、サッシ工事、内装工事、電気工事などといった建築工事の部分について工事を行う会社で「専門業者」とも言います。建築工事は、様々な専門的な部分を行う業者を集めることで成り立っています。

「建築主」とは、家やビルなどの建築物を注文する人で、施主、発注者、建て主、お客様、消費者、エンドユーザーなどと、状況に応じていろいろな呼び方をされます。

「分離発注」というのは、建築主が工務店やハウスメーカーといった元請会社に工事を一括で発注するのではなく、それぞれの専門業者に直に発注して建築物をつくる方式です。
 
さて、このレストランの改修工事。分離発注で行なうことになったのですが、普段は行なわない方法です。はたして工務店、つまり元請会社が介在しなくても改修工事はできるのでしょうか。

元請会社がいなくても、もちろん可能です。このレストランの改修工事なら、機動力のある大工の協力が得られたら、問題なくできます。幸いに、私には何人かの大工の友人がいました。他に、左官、内装、建具、塗装、電気、給排水、空調などの工事を行う専門業者を集めればいいのです。
 
このようにして、工事現場での陣頭指揮は、設計監理者である私がとりました。普通はこの役目を工務店の現場監督が行ないます。今回の工事は工務店が介在しないので、設計監理者が自ら行ないました。まず、工事のスケジュールを組まなければなりません。そこで、それぞれの専門業者の代表を集めて意見を出し合い、工事のスケジュールを検討しました。

建築工事は、いろんな職種が入れ替わり立ち代り現場に出入りするので、交通整理をしなければ混乱します。どの業者がいつ工事に取り掛かって、いつまでに終わらすのか、つぎにどの業者が入るのか、というようなことを工事関係者の誰もが分かるような表に落とし込みます。これを「工事工程表」といいます。

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設計図面と工程表は、音楽で言えば譜面に相当します。そして、建築工事を音楽の演奏会に例えるなら、現場監督は「指揮者」です。専門業者の職人はトランペットや太鼓などの「演奏者」です。設計者は「作曲家」といったところでしょうか。

つまりこの改修工事で採用した「分離発注方式」は、作曲家が自らが指揮棒を振って、演奏会を行なったようなものです。音楽の世界では、よく行われていることです。建築の世界でも、設計監理者が指揮をして建築工事を行ったとしても、何ら不思議ではありません。

実際、世界を見渡せば、ごく普通に行われている建築方式です。元請け業者に一括で工事を発注するしか選択肢がない、という日本の状況の方が特殊です。



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