2018年4月

代表メッセージ

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限られた予算の中でどれだけのことが実現できるか。糸田町が設計事務所にアイデアを公募しました。採用されたのはプラスエム設計の建築手法オープンシステム。公共施設では全国初の出来事です。

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オープンシステムという建築手法は、1993年に鳥取県のプラスエム設計が考案し、全国の設計事務所に広まりました。現在(2018年4月)約150の設計事務所が取り組んでいます。この手法で、これまでに5千棟を超える建物が建築されました。大半は住宅ですが、ビルや店舗や工場などもあります。

オープンシステムは、専門的には「CM分離発注方式」と言います。(CM=コンストラクション・マネジメント)そこには一括請負の建築業者が存在しません。元請け・下請けという関係もありません。建築主と設計事務所と専門業者の3者がそれぞれの役割を担い、互いに目的の建築物を完成させるパートナーの関係となって工事を進めます。

オープンシステムの実績はすべて民間の建築物です。公共の建築物は一つもありませんでした。というのも、設計業務だけではなく、分離発注方式を前提とした施工業者の選定や工事監理業務まで含む建築手法は、行政の「設計入札」に馴染まないと思われていたからです。

ところが昨年、福岡県田川郡糸田町が公募型プロポーザルを実施しました。「限られた予算の中でどれだけのことが実現できるか」。単なる設計監理にとどまらず、建築の進め方まで含めたアイデアを募集したのです。採用されたのはプラスエム設計のオープンシステムでした。

2018年3月に竣工した『いとよーきた』は、当初の狙い通り、限られた予算の中で多くのことを実現することができました。主なものを列記します。

予算を増額することなく、計画段階で想定していた延べ床面積(100㎡)より大きな建物(130㎡)にすることができました。完成後の維持費を極力抑えられるように、高断熱・省エネ仕様の建物にすることができました。ユニバーサルデザインを採用して、授乳スペース・オストメイト対応トイレを設け、子育て世代・障がい者に配慮する施設となりました。

さらに、予算面やハード面に限らず、設計や工事の進め方自体が公共施設としては画期的でした。糸田町役場の主な部署には打合せ議事録や工事現場からの報告が日々MLで配信されました。また、外部の壁は塗装職人が一日講師となり、糸田町の小学生が参加して塗りました。本当の社会学習です。外観の色やトイレの使い方などにも多くの町民のアイデアや意見が反映されました。

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本当の建築主は町民、という考え方に貫かれて『いとよーきた』は竣工しました。鳥取県で生まれた建築手法が、コンビニもない福岡県の小さな町で、公共工事の発注方法を見直すきっかけとなり、全国的な流れを巻き起すかもしれません。

2018年4月
プラスエム設計代表 山中省吾



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