その20 昔の造りのままに断熱すると

ほぼ基本設計を終えた段階の立面図

スクリーンショット 2020-08-28 8

ずっと昔から昭和の中頃まで、
まだ断熱材というものがなく、
また、断熱が必要という考えもない時代に
建てられた住宅は、
その頃の生活スタイルであれば
何の問題もありませんでした。

冬は寒く、夏は暑いという問題以外は。

それでも人々は、
大自然の営みに争うことなく、
暑さ寒さを当たり前と思って暮らしました。

そんな中で自然と上手く付き合うには、
「夏を旨とすべし」。

その頃の生活スタイルに最も適していたのが、
自然素材で造った風通しの良い建物でした。

構造体としての木材、壁や屋根の土、
仕上げの漆喰、藁の畳、木と紙の障子・・・

木はそれなりに透湿抵抗値が高いとしても、
土・漆喰・紙・藁は、
透湿抵抗値がとても小さな物質です。

昔の人たちが家の中で暖をとったとしても、
隙間が多い家では、
自然換気で煙も水蒸気も抜けていきます。

寒くてかなわんと、
漆喰などで隙間を埋めて暖をとった場合に、
一時的に内部結露が生じたとしてもる、
あまり問題ではありませんでした。

直ぐに乾くからです。
それが透湿抵抗値の低い
建築材料で造った住宅の良いところです。

しかし、現在の技術を駆使して
断熱性能・気密性能を高めた住宅では、
建物内外の温度差がダイレクトに反映され、
内部結露の量も半端ではありません。

そこで建築士の私たちはどう考えるか、
ここが大事なところです。
選択肢は大きく3つあります。

選択肢1
できる限り透湿抵抗値の小さい自然素材を使い、
内部結露は承知の上で、濡れては乾くを繰り返す。

選択肢2
透湿抵抗値の小さな自然素材を使うものの、
途中に透湿抵抗値の大きな防湿フィルム等を加えて
水蒸気の移動を少なくし、尚且つ、通気層を設けて
内部結露が生じる物理的な状態を取り去る。

選択肢3
内部結露が生じる屋根や外壁の下地の
温度が下がらないよう外断熱で強化する。

さあ、読者が建て主だとしたら、
1〜3うち、どの選択肢を選ぶでしょうか?

それでは、また。