その19 水蒸気の気持ち2

最新版の外観パース、角度を変えて掲載。

外観_23

水蒸気くんが天井の漆喰のところまで行くと、
無理なく通れる隙間があります。

15ミリ厚の漆喰の透湿抵抗値は、
0.00029(㎡・s・Pa/ng)と小さく、
通り抜けるにはそれほど障害にはなりません。

漆喰を通り抜けると、下地の衣摺があります。
木の透湿抵抗値は0.01344(㎡・s・Pa/ng)と
かなり大きいので、小さな水蒸気くんといえど、
通り抜けるが少々困難です。

ただし、
木と木の隙間は何の邪魔にもなりません。
衣摺を通り抜けると、籾殻の森が広がっています。
水蒸気くんにとってはどうってことはありません。
人間が森を散歩するように、
快適に通り抜けることができます。

籾殻は40cmもの厚さがありますが、
隙間が大きいので透湿抵抗値はゼロで計算します。
水蒸気くんにとってはフリーパスのようなもの。

ここで、水蒸気くんの身体について説明します。

水蒸気くんは、水の分子1個です。
目には見えない状態で空気中に浮遊しています。
大きさは、0.38ナノメートルです。
1ミリの1/1000がマイクロメートルで、
さらにその1/1000がナノメートルです。

寒い日に吐く息が白く見えるのは、
水蒸気ではなく、水の粒です。

その時の大きさは、
10〜100マイクロメートルです。
水蒸気と水の粒とでは、
1000倍以上大きさが違います。

この大きさの違いを利用して、
「透湿防水シート」が発明されました。
水蒸気は通すけど、水は通さないシートです。

さて、水蒸気くんが籾殻を抜ける間に、
気温が随分下がってきました。
外部に近づいてきた証拠です。

水蒸気くんは、寒さをまったく苦にしません。
水蒸気くんの最も特異な能力は、
温度によって個体(氷)液体(水)気体(水蒸気)
へと姿を変えられるところです。

籾殻の森を抜けた先には、
屋根の下地(木材)が見えます。

木材は透湿抵抗値が比較的高いので、
通り抜けるのに時間がかかります。

水蒸気くんの仲間も
次々と籾殻の森を越えてきました。

屋根の下地の温度は-5℃、
キンキンに冷えています。

暖かな部屋から移動してきた水蒸気くんが
屋根の下地に触れようとしたその瞬間、
周りの-5℃の空気が飽和水蒸気量を超え、
水蒸気くんは瞬時に水に変身します。

水蒸気くんが水に変身する時、体から熱を発するので
氷点下でも直ぐには凍りませんが、
周りの寒さが勝りさらに体温を奪われると、
水から氷(個体)へと変身します。

夜が明けて陽が昇ると、
凍っていた水蒸気くんたちは、
一斉に溶け始めて、
籾殻断熱の上にポタポタと滴り落ちます。

以上が、内部結露のメカニズムです。

凍れる1月の深夜から明け方にかけて、
籾殻断熱を突き抜けた屋根の下地の裏側で、
このようなドラマが演じられると予想されます。

それでは困るので、
建築的に何か対策しなければなりません。

それでは、また。