世界に誇ってくれ!

(してくれ!シリーズ#2です)
知人からの紹介で、メンテナンスの相談を受けるため、地元秦野の里山にある古民家に伺いました。
古民家と言っても、15年前に新築した古民家調の店舗併用住宅です。
新築と言っても、300年前からそこにあったような堂々たる雰囲気。

ダイナミックな小屋組み

新築時に設計監理したのは、古民家再生の世界では有名なF先生。
自分が以前手掛けた「古くて新しい家」とほぼ同じ設計思想でつくられているのを見て、
うれしくなりました。

古民家に限りませんが、他の設計者の仕事を見るのは大変勉強になります。
(ならないこともあります…)
同時にお施主さんの見識の深さや、この家をつくる時の覚悟にも感銘を受けました。
さらに伝統的な職人の仕事や、この家づくりのドラマにも注目しながら、しっかりメンテナンスのお手伝いをしたいと思います。

本気の家づくりは文化も職人も建築士も育てます。
私たち現代人は経済効率や利便性ばかりを追い求めてしまいがちです。そして私たちつくり手は激安業者の破滅的な価格と薄っぺらさに驚かされます。後先を考えないような商行為はまるで、日本の海域から海産物を根こそぎさらっていく、どこかの国の不法漁船団みたいです。

家づくりにおいては「早くて、安くて、簡単!」のファースト思想から脱却して、是非、ゆっくりと考えてみて下さいヨ。

家はその国の文化を表すと言われるほど奥の深いものです。
家が集まると街になり、街が集まると国にまります。だから家は大事です!

新築であれ、再生であれ、森の木を使い、土や石など持続可能な自然素材で仕上げた日本の民家は地球環境にもやさしい世界に誇るべき建築です。
また、そのような建築文化が優秀な職人を育てました。
昔の大工棟梁(左官など大工以外の職人の頭は頭領)は、大胆な力仕事から、繊細な手仕事まで職人として仕事ができるのは当たり前、その上で設計、積算、見積もりもできて、人も育て、営業もできる、まさにオールラウンダー。
時代や職種は違いますが、やっぱり自分は建築士としてオールラウンダーでありたいと思います。決して多くは望みません。自然と向き合い、物をつくり、語り、食べ、酒も少しは飲み、皆と一緒に生きていけたら最高です。笑

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