古民家の造形と結(ゆい)/大津宏伸

古民家って、どうやって造られたか知ってますか?
今のようにハウスメーカーなんてありませんし…。
フラット35のような住宅ローンもありません…。

庄屋さんや大庄屋さんのような裕福な農家では、本職の大工さんや左官屋さんが腕を振るったものが大多数ですが、貧しい農村の民家(←これぞ古民家)は基本的に、地域の人々が協力しあう互助組織によって、自給自足の手作りでつくられました。この互助組織を『結』といいます。結では、労働力を対等に交換しあって、田植え、稲刈りなど農業の営みや住居など生活の営みを維持していくための共同作業が行われました。茅葺き屋根の葺き替えも、地域の人々が総出で行ったそうです。(今、この葺き替え工事をやろうと思ったら、数千万円…)
そのための金銭のやりとりはなく、あくまで労働力の交換でした。
(手間貸し、手間返しというやり方は今も建築職人の世界に残っています)
そして、自分たちでできない部分は大工さんや左官屋さん等の専門業者を頼んだようです。
今風にいうなら、集団で行うハーフセルフビルドといったところでしょうか。
地域によって異なる風土や共同社会のあり方が、民家造形の基盤にもなっていたようです。

思い出して、『日本民家の造形』という本を引っ張り出してみました。
画像の説明
この本では、民家を建築学や民俗学等の諸見地から学ぶだけでなく、造形的観点から捉えるとして、著者が全国の民家を取材しています。
読み物というより、古民家が956件も解説とともに紹介されている古民家図鑑な感じです。
古民家の造りについて分からないときは、これを見れば分かります。

画像の説明

写真は世田谷の岡本民家園。平面が長方形で寄棟屋根をかけた最も単純な「直家(すごや)造り」
http://www.city.setagaya.lg.jp/shisetsu/1213/1265/d00122210.html

カラスも家づくりに懸命なようで、屋根の茅を抜いてもっていっちゃうんだそうです。笑
テグスを張ってカラス対策してありましたが…、じゃ、昔はカラスに抜かれ放題だったのか??

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