CM方式という住宅の新しい注文方法

質問：世界には多様な建築発注方式があると聞きました。日本はどうなのでしょうか？

回答：世界にはいろんな建築生産方式があります。建築生産方式と言うと難しく聞こえますが、要するに、建築にはいろんな注文方法があるということです。

それらの注文方法は「CM方式」あるいは「PM方式」などと言われています。CMはコンストラクション・マネジメントの略で、PMはプロジェクト・マネジメントの略です。
　
日本はどうでしょうか。多種多様な建築で溢れています。一見、何でもできそうに思えます。しかし、意外にも建築の注文方法としては選択肢が限られています。ほぼ全ての建築が「一括発注」という注文方法だからです。一括発注とは、建築の元請業者に建築工事を丸ごと発注する方法のことです。

　
そこで日本建築学会は、「PM・CM特別研究委員会」というものを立ち上げ、大学の建築系の先生を中心に研究を始めました。CM方式やPM方式を日本に定着させようという狙いです。そして、委員会の成果を1996年のシンポジウムで発表しました。

その時、CM方式の一形態として注目を浴びたのがオープンシステムでした。シンポジウムの後に国土交通省がCM方式ガイドラインを作成したこともあって、今では日本でもCM方式が緩やかに定着しつつあります。
　
NTTファシリティーズや大手設計事務所が、大規模建築物を中心にCM方式で行なっています。木造住宅など小規模建築物では、オープンシステムが大きく先行しています。（まだまだ小さな市場ですが）
　
オープンシステムは小規模建築物を中心に行われていますが、規模の大小や用途を問わず、どのような建築物でも可能です。地上８階建ての商業ビルやクリーンルームを備えた近代的な工場の事例もあります。また、2018年には公共建築物の事例が加わりました。福岡県糸田町に完成した『いとよーきた』という多目的施設です。限られた予算でどこまで実現できるか。公募型プロポーザルでプラスエム設計の提案が採用され実現しました。
　
最後に分離発注方式とオープンシステムの違いについて付け加えます。分離発注方式は一般用語ですが、オープンシステムはプラスエム設計が商標登録した名称です。世界各地で行われている一般的な分離発注方式に、独自の技術やサービスを付け加えて確立した手法がオープンシステムです。

ちなみに、欧米などでは、それぞれやり方を工夫して分離発注を行なっている設計事務所が少なくありません。中規模の建築物を中心にごく普通に行われています。

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住宅会社に全て任せるのではなく、建築主の思いを的確に反映させるにはどのような方法が最適か。このような考えで進める建築を「オープンシステム」と言います。マンガに登場する山田さん、小出さん、熊野さんは架空の人物ですが、二つの実話を合体した内容となっています。A５版36ページ、さらっと読めます。