高断熱住宅最新事例

まもなく着工!
敷地面積35坪の狭小地に建てる木造3階建住宅
(松江市/延べ床面積116㎡)

外観_18

沢山の「ゆずれない」をお持ちの建て主さん。「ゆずれない」の話は尽きないので、ここでは断熱性能に絞ります。先に結果を示すと、断熱性能を示すUA値は0.30となりました。

どれくらいの数値が適切なのか、専門知識のない私たちには判断できません。

建築士 ごもっともです。この3階建住宅ではUA値0.30を実現しました。それがどれくらいのレベルか、身近な数字に置き換えてみましょう。

UA値は、外皮平均熱還流率と言い、建物の断熱性能を表す指標です。建物内の熱は、屋根・外壁・窓・基礎といった外気と接する外皮から流失します。室温と外気温の差が1度の時、外皮1㎡当たりに移動する熱量の平均をUA値で表ます。

気象庁のデータによると、米子市の最も寒い1月の平均気温は4.4度。国際的に最も快適と言われる冬の室温を24度と想定すると、室内と外の気温差は19.6度となります。

UA値×外皮面積×温度差で、1時間に流失する熱量を算出することができます。
0.3×315.99×19.6=1858.02Wh=1.86kWh

さて、6畳用のエアコンは定格運転時に2.2kWの熱量を発生します(メーカーの性能表)。ということは、70畳の広さに相当するこの3階建の住宅を、6畳用のエアコン1台で賄えるということです。

断熱で失う熱の他に、換気で失う熱もあると思います。それはどれくらいでしょうか?

建築士 鋭い着眼点です。暖められた空気を排出して、外の冷たい空気を取り入れる冬の換気は、結構大きな熱が流失します。

建築基準法では、1時間に0.5回の換気を義務付けています。3階建のこの住宅は、1時間に約150㎥の空気を換気する必要があります。換気により失う熱量は、空気の容積比熱と建物内外の気温差から割りだすことができます。計算すると、1時間に3822kJの熱を失うことになります。換算すると1.06kWhで、それなりに大きな熱量です。

しかし、だいじょうぶです。熱交換型換気扇を使うと約8割の熱を回収できるので、失う熱量は約0.21kWhです。断熱で失う熱量に加えても2.07kWhですから、まだ6畳用のエアコンで余裕があります。

夏は日射熱を遮断し、冬は日射熱を積極的に取得できるよう、設計で工夫できると聞きました。

建築士 仰るとおりです。失う熱もあれば、取得する熱もあります。取得する熱で比較的大きいのは冬の日射熱です。この3階建ての住宅では、南面の屋上テラスの窓から、晴れた冬の日には、1kWhの電気ストーブ2台分に相当する日射熱を取得することができます。

画像の説明

晴れた冬の日は無暖房で過ごせます。それどころか、日射熱でオーバーヒートになリます。そのような冬晴れの日は、せっせと建物内に蓄熱するのが賢明です。床、壁、天井などの建材は、空気に比べると何十倍もの比熱を有するので、建物に蓄熱された熱が急激に外気温が低下した時、室内への影響を緩和します。

その他に取得する熱として、電化製品がだす熱があります。照明器具、調理器具、冷蔵庫、洗濯機、掃除機、テレビ、パソコン等です。これらの家電製品が、一般的な家庭で1日に数kWhも発熱します。

そして、意外と大きいのが人体から発生する熱です。睡眠中で70W、読書の時で100W、家事など活発に動いている時に200Wもの熱が発生します。4人家族が1日中家にいると、11.5 kWhくらい発熱します。日射熱、家電や照明器具の熱、人体の熱、これらを合計すると、断熱により失う熱量に近づきます。

人体から発生する熱量など考えたこともありませんでしたが、意外に大きいので驚きました。

建築士 一般的な住宅は断熱で失う熱量が大きく、人体が発生する熱量など微々たるものでしかありません。しかし、UA値が0.30くらいの超高断熱になると、人体から発生する熱量までが室温に影響してきます。

冬季の暖房費を計算してみましょう。6畳のエアコンは定格運転時に2.2kWの熱を発生すると既に書きました。その時の消費電力は580Wです。つまり、最近のエアコンは、0.58kWの消費電力で2.2kWもの熱量を発生するとても高効率な暖房器具です。しかも、1台の器具で冷・暖両方を賄えるすぐれものです。

電気代を28円/kWhと想定して逆算すると、6畳用のエアコンは定格運転で1時間に約16円の電気代を使います。1日中つけっぱなしだと約390円です。家電や人体から発生する熱を考慮するとエアコンは間欠運転となり、その半分以下で済みそうです。

最後に、UA値0.30というのは、どの程度のレベルなのでしょうか?

建築士 平成28年改正の省エネ基準では、鳥取県(地域区分6)のUA値は0.87以下となっています。国が力を入れているZEH基準のUA値でも0.6以下です。現行の国の基準は、ほとんど努力なしで実現できるレベルです。しかも義務ではなく推奨値です。

日本の住宅は、断熱性能の面で世界に大きく遅れていて、海外から「日本はまだそんなレベル?」と言われているのが実情です。UA値0.30の住宅は、スイスやドイツなどの断熱先進国とやっと肩を並べるレベルです。
 
UA値は、車の燃費のようなものです。燃費は数値が大きいほど高性能ですが、UA値は数値が小さいほど高性能です。車は買い換える度に燃費が向上しますが、住宅は買い換えることなどほとんどできません。

実際、30年前の住宅は、アルミサッシの枠材と単板ガラスが主流でした。当時はそれが当たり前でした。しかし、今は危険な住宅に変わりました。健康のリスクが高いのです。そして、家全体を冷暖房するには、とても大きなエネルギーが必要で、大量の二酸化炭素を排出します。
 
UA値0.30の家は、きっと30年後も、子供や孫たちのためにも、正しい選択をしたと実感できるレベルです。



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