建築は見えない

ことが多すぎる

建築業界とは一体どんなところなのでしょうか。製造業でもない、小売業でもない建築業。建築業についての基礎知識があると、分離発注方式・オープンシステムがよりよく分かります。そこで、建築業界の特徴をあげてみます。

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■第1の特徴「市場規模が大きい」

バブル経済が崩壊する直前、建築工事と土木工事を合わせると、年間の市場規模は約90兆円もありました。建築工事が約50兆円で、土木工事が約40兆円です。建築工事の中で住宅は約26兆円。金額にして半分以上ですが、住宅はビルや工場など他の建築に比べて小さな規模なので、着工数は全体の9割以上占めていました。1年間に約150万戸もの住宅が建ち続けていたのです。

ここにあげたのはバブル期(1990年)の数字です。バブル経済崩壊以降、建築の市場規模は減少し続け、2010年には24兆円まで縮小しました。ピーク時の半分以下です。2010年を底に、2017年には30兆円まで盛り返しました。縮小したとはいえ、やはり大きな市場規模です。

ちなみに公共工事の割合は、建築工事が約10%で土木工事が約80%です。建築工事は民間主導型で土木工事は公共主導型というのがうかがえます。

■第2の特徴「業者の数と業種が多い」

バブル期の建設業の登録業者数は、建築と土木を合わせて53万社もありました。バブル崩壊以降、市場規模は縮小しましたが、登録業者の数は1998年まで増え続け60万社となります。不思議です。大きな会社が倒産して小さく分散したのでしょうか。以後、登録業社数は減少し、2017年には50万社となりました。それにしてもすごい業者数です。

建設業界で働くの就業者の数はどうでしょうか。バブル期に620万人いた就業者ですが、何故かバブル崩壊以降も増え続け、1998年には685万人となります。市場規模が縮小しているのに、業者数も就業者数も増え続けます。本当に不思議です。国土交通省のデータを参考にしていますが、私の見方がおかしいのでしょうか? 2017年の就業者数は500万人まで減少しています。

■第3の特徴「仕事場が次々と移動する」

工場や店舗で働く人の仕事場は、基本的に同じ場所です。しかし、建築の仕事に就いている人は、仕事場が固定していません。工事現場に大工、左官、内装、電気などの業者を集め、建築工事を施工するためのチームが編成されます。建築工事が完成するとこのチームは解散し、また別の工事現場で新たなチームが編成され、そこが仕事場となります。

■第4の特徴「多重下請け構造」

多重下請け構造とは、工事全体を一括で請負った元請け会社が、工事の種類毎に次々と下請け会社に外注して工事を完成させることを言います。とても複雑な業界です。営業や企画が主体の建築会社は、請け負った工事をほぼそっくり他の建築会社に丸投げするところもあります。バブル時のゼネコンがそういう傾向に走り、「ゼネコンは商社だ」と堂々と宣言するところさえありました。
 
全国展開を行なっているハウスメーカーの殆どがこのタイプです。それぞれの地方都市で専門工事会社を編成して工事を行なうよりも、地方の事情に明るい工務店に代わりにやってもらうほうが楽だし、全国展開の速度も速くなります。

こういった形態はうまく回れば効率が良くなります。例えば3000万円で受注した工事を、別の会社に2500万円で外注すれば、500万円の粗利益が生まれます。仮に自分の会社に技術者が揃っていなくても、多くの工事量を消化することが可能です。
 
このような形態は元請け会社に限ったことではなく、下請け会社にもたくさんあります。元請け会社から下請け会社へ、さらに下請け会社から孫請け会社へ、場合によってはさらにひ孫請け会社へと流れていき、これを「多重下請け構造」といいます。

一体、いくらが工事原価なのか、適正な価格はどこなのか、見えなくなっています。




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