古い友人が
意外に思ったこと
ちゃんと調べた訳ではありませんが、鳥取県は、新型コロナウィルスの新規感染者数が、全国で最も少ないのではないでしょうか。今月は特に少なく、本日(6月22日)の時点で新規感染者数はまだ一人だけ。これって、凄くないですか? 新規感染者数連続ゼロ日がさらに続くよう願います。
このような状況になってきたので、ずっと控えていた、近所の古くからの友人宅を訪問しました。マスク着用をちゃんと守った上でしたが、互いの近況に話が弾みました。私から持ちだした訳ではありませんが、何かの拍子で話題が住宅の断熱に及びました。友人が、建築士の私に聞いてみたかったのだと思います。「最近の住宅は、断熱性能がすごいらしいね」と。
「そりゃあ、昔の家に比べたらすごいと思うよ。アルミ枠のサッシが樹脂製や木製に代わったし、単板のガラスが複層になったし、3層ガラスも使われ始めたからねぇ。窓だけとっても、熱の移動は昔の家の10分の1以下になったかもしれんね」
「窓ガラスの間に、特殊なガスが入っているんだとか」
「よく知ってるねぇ。アルゴンなど空気より熱伝導率の低いガスを入れて断熱を強化し、ガラスの表面にRow-Eという金属をコーティングして、どの面にコーティングするかで、日射熱取得型と遮蔽型の窓を使い分けているんだ」
「すごい進歩だねぇ。我が家は、40年前に建てたから、アルミサッシにガラス1枚だ。冬は寒くてかなわん。今ごろの家は暖ったかいのだろうね」
「もちろん、昔の家に比べたら、断熱的には格段の進歩だ。だけど、世界の流れからすると、断熱に関してはまだまだで、先進諸国から『日本の住宅はまだそんなレベルなの』と笑われているくらいだ。日本の建築士としてはちょっと恥ずかしい」
「へーっ、そうなんだ。日本の住宅はレベルが高いと思っていたけど、意外だねぇ」
「断熱先進国のドイツでは、一定の断熱性能を満たしていない窓は販売できないように法律で決めているし、また、住宅の断熱性能についても一定のレベルを義務付けて、それをクリアしないと建築の許可が降りない。日本の場合は、断熱性能を義務付けではなく、努力目標にしているので、住宅会社によって断熱のレベルにバラつきがある。しかも、努力目標にしている数値が、努力しなくても普通に達成できる数値なので、なかなか日本の住宅の断熱性能が向上しないのが現実なんだ」
「聞かなきゃ分からないねぇ。意外だねぇ。何故、そうなんだろうか? もしかしたら、日本独特の忖度(ソンタク)や斟酌(シンシャク)が、政治や行政の世界に働いているからかもしれんね。住宅の断熱性能を世界の先進国並みに上げて義務化すると、困る人たちや企業の激しい抵抗があるから…、とか」
「それは分からんけど、住宅の断熱性能を義務化していないこと、努力目標の数値が努力しなくてもできるレベルであることは事実だね。冷暖房時に使うエネルギーは、住宅の断熱性能で決まるので、気候変動問題とも直結する。また、住宅の室温が低いと、循環器系の疾患リスクが高くなるとして、世界保健機関WHOが2018年に、世界各国に向けて、住宅の断熱性能を向上するよう勧告しているんだ」
「へーっ、知らなかった。気候変動、プラスチック汚染、食品ロス、そしてSDGs。どれも人類共通の問題であることに、日本人はもっと敏感にならんといけんなぁ」
近所の友人を訪問した時の話題でした。友人は、日本の住宅は世界最高レベルだと思っていたようです。ところが、断熱に関しては先進国の中で最低レベルだということがとても意外だったようで「えっ、嘘でしょう?」と驚きの顔が印象的でした。
2021年06月
プラスエム設計代表 山中省吾
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